完了相 (完了形)

このセクションのポイント:

  • 完了形(基本は <have + 過去分詞>)は、ある基準時(現在・過去・未来)から見て、それ以前の出来事がその基準時に影響を及ぼしていること、またはその基準時までに完了・経験・継続していることを示す。
  • 現在完了形 (<have/has + 過去分詞>) は、過去の出来事と現在の「つながり」を表し、「完了・結果」「経験」「継続」の用法がある。過去の特定時点を表す副詞句とは原則として併用不可。
  • 過去完了形 (<had + 過去分詞>) は、過去のある基準時より「さらに前のこと(大過去)」がその基準時にどう影響していたかを示す。
  • 未来完了形 (<will have + 過去分詞>) は、未来のある基準時までに何かが「完了しているだろう」「経験したことになるだろう」「継続していることになるだろう」ことを示す。

完了形は、ある基準時 (現在・過去・未来) から見て、それ以前の出来事がその基準時に影響を及ぼしている、あるいはその基準時までに完了 (結果)・経験・継続していることを表します。<have + 過去分詞> が基本形です。

2.6.1 現在完了形 (Present Perfect) 形: <have/has + 過去分詞>

核となるイメージ: 過去の出来事・状態が現在と繋がりを持っていること。話し手の意識 (基準点) 現在にあります。単純な過去を表す過去形とはこの点で明確に区別されます。

現在完了形の主な用法

  • 完了・結果「(ちょうど)~してしまった」「~し終えた」: 過去の動作が完了し、その結果が現在どうなっているかを示します。just, already, yet などの副詞と共によく用いられます。
    • 例: I have just finished my breakfast. (ちょうど朝食を終えたところだ。→だから今はお腹が空いていない)
    • 例: She has gone to America. (彼女はアメリカへ行ってしまった。→だから今ここにいない)
    • 例: Have you finished the report yet? / No, not yet. (もうレポートは終わりましたか。いいえ、まだです。)
  • 経験「(今までに)~したことがある」: 過去から現在までの間に経験したことを表します。ever, never, before, once, twice, … times, often などの副詞と共によく用いられます。
    • 例: Have you ever visited Kyoto? (今までに京都を訪れたことがありますか。)
    • 例: I have never seen such a beautiful view. (こんな美しい景色は一度も見たことがない。)
  • 継続「(今まで)ずっと~している」: 過去のある時点から現在まで、ある動作や状態が継続していることを表します。for + 期間, since + 起点を伴うことが多いです。状態動詞でよく用いられます。
    • 例: We have lived in this town for ten years. (私たちはこの町に10年間住んでいる。)
    • 例: He has been sick in bed since last Sunday. (彼は先週の日曜日からずっと病気で寝ている。)
    • 例: How long have you known her? (彼女と知り合ってどのくらいになりますか。)

【現在完了形と過去形の使い分け】

  • 現在完了形: 過去と現在の繋がりを意識。現在どうなのかが焦点。「経験」「継続」など、現在を含む期間。
  • 過去形: 過去のある時点の出来事・状態のみを述べ、現在との繋がりは断絶。過去を示す明確な副詞句 (yesterday, last …, … ago など) があれば基本的に過去形。
    • 例: I lost my key yesterday. (昨日鍵をなくした。[過去の事実])
    • 例: I have lost my key. (鍵をなくしてしまった。→だから今、家に入れない)
    • 例: He lived in Paris for five years. (彼はパリに5年間住んでいた。[過去のこと])
    • 例: He has lived in Paris for five years. (彼はパリに5年間住んでいる。[今も住んでいる])
  • 【注意】 現在完了形は, yesterday, last …, … ago, just now, when…? など、過去の特定の時点を表す副詞(句)とは原則として一緒に使えません。

2.6.2 過去完了形 (Past Perfect) 形: <had + 過去分詞>

核となるイメージ: 過去のある基準時よりもさらに前の出来事・状態 (大過去) が、その過去の基準時に影響を及ぼしている、あるいはその時までに完了・経験・継続していたことを示します。話し手の意識 (基準点) は過去のある時点にあります。

過去完了形の主な用法

  • 大過去 (過去の過去): 過去のある出来事よりも前に起こった出来事を表す。
    • 例: When I arrived at the station, the train had already left. (私が駅に着いたとき、電車はすでに出発していた。[駅到着(過去)より電車出発(大過去)が先])
    • 例: He told me that he had met her before. (彼は以前彼女に会ったことがあると私に言った。[言った(過去)より会った(大過去)が先] (時制の一致))
  • 過去のある時点までの完了・結果: 過去の基準時までに動作が完了し、その結果がどうだったかを示す。
    • 例: He had lived there for ten years when the war broke out. (戦争が勃発したとき、彼はそこに10年間住んでいた。[戦争勃発(過去)までに10年間住んでいた])
  • 過去のある時点までの経験: 過去の基準時までに経験したことを表す。
    • 例: She had never seen snow until she visited Hokkaido. (北海道を訪れるまで、彼女は雪を見たことがなかった。[訪問(過去)までの経験])
  • 過去のある時点までの継続: 過去の基準時まで動作や状態が継続していたことを表す。
    • 例: They had known each other since they were children. (彼らは子供の頃からお互いを知っていた。[過去のある時点までずっと])
  • 【注意】 文脈や before/after などで時間関係が明らかな場合は、必ずしも過去完了形を使わず過去形を用いることもあります。

2.6.3 未来完了形 (Future Perfect) 形: <will have + 過去分詞>

核となるイメージ: 未来のある基準時までに動作や状態が完了・経験・継続しているだろうことを表します。話し手の意識 (基準点) は未来のある時点にあります。

未来完了形の主な用法

  • 未来のある時点までの完了・結果: 「(未来の~までには)~してしまっているだろう」。by … (~までには) などの表現と共に用いられることが多い。
    • 例: I will have finished this work by five o’clock. (私は5時までにはこの仕事を終えているだろう。)
  • 未来のある時点までの経験: 「(未来の~で)~したことになるだろう」。
    • 例: If I visit London again, I will have been there three times. (もし再びロンドンを訪れたら、3回行ったことになる。)
  • 未来のある時点までの継続: 「(未来の~で)~の間ずっと~していることになるだろう」。
    • 例: By next month, we will have lived here for ten years. (来月で、私たちはここに10年間住んでいることになる。)

コメント

タイトルとURLをコピーしました